Rebirth

Nobuhito Ouchi

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  1. J. Pachelbel: Suite in F sharp minor
  2. J. Pachelbel: Prelude in D minor
  3. J. A. Reincken: Partie diverse sopra l’Aria: Schweiget mir von Weiber nehmen, altrimente chiamata la Meyerin
  4. D. Buxtehude: Aria “La Capricciosa” BuxWV250
  5. G. F.Händel: Chaconne in G major
  6. J. Pachelbel: Ciaccona in F minor
  7. D. Buxtehude: Ciaccona in E minor
  8. J. N. P. Royer: La Marche des Scythes

Nobuhito Ouchi, piano
played Steinway & Sons, New York Model D (No.512771) Recorded at Coppice Miyoshi on September 1-3, 2020
2021 sonorité [SNRT2001]

Director & Producer: Akira Naito
Piano Technician & Piano Producer: Yu Takagi
Recording Engineer: Gen-ichi Kitami

Nobuhito Ouchi “Rebirth” Introduction Movie
Royer: La Marche des Scythes

バッハが憧れた作曲家たち

このアルバムに収録されている曲はバロック音楽の作曲家のものです。パッヘルベル、ブクステフーデ、ラインケン……。バッハが憧れたドイツの作曲家たちです。

パッヘルベルは「カノン」の作曲家として有名ですね。バッハは少年時代、兄の所有していたパッヘルベルの楽譜を月明かりを頼りに写譜しており、恐らく兄の結婚式に出席したパッヘルベルに会っていることでしょう。

今回の選曲はカノンの印象を吹き飛ばすようなものばかり。きっとパッヘルベルへのイメージが変わることでしょう。

ブクステフーデは若きバッハが多大な影響を受けた作曲家です。バッハは20歳のとき、ブクステフーデに会うために徒歩で大旅行をし、休暇を無断で延ばしたという逸話も残っています。

ラインケンのもとをバッハが訪れたのは1720年、バッハが30代半ばのとき。このときバッハの演奏を聴いたラインケンは賞賛の言葉を送っています。また、バッハはラインケンの『音楽の園』を鍵盤楽器用に編曲しています。

世界初のモダンピアノによる録音

自分がずっと「こんな CD あったらいいのにな……」と思っていたアルバムを、自分で創ることにしました。

我々ピアニストにとって、レパートリーの中で最も古い作曲家というのはバッハになりやすいんです。他はせいぜいバッハと同い年のヘンデルやスカルラッティ。これらは数えきれないほどのモダンピアノでの録音があります。

では、バッハより前は?

すぐに思い浮かぶのはやはりグールドのバードやギボンズ集でしょうか? 素晴らしい録音です。彼の演奏するスウェーリンクも素晴らしい。ですが、バロック音楽ではなく、もっと前の時代……いわゆるルネサンス音楽になります。

バッハ以前のバロック音楽となると、鈴木雅明氏やヴァルヒャのオルガン、そしてロンドーやコープマンのチェンバロの録音があり、聴けばとてもワクワクします。じゃあモダンピアノでは……?

……残念ながらそのようなアルバムは見当たりませんでした。

しかしながら私自身が強く思っているのは「バッハ自身が強く影響を受けた音楽をモダンピアノで聴きたい」ということ。そしてこれまで、「ピアノ界」にブクステフーデの名を浸透させたい、パッヘルベルは「カノン」だけじゃないということを知ってほしい! と演奏活動をしてきました。

このアルバム『Rebirth』は、そのようなバロックの曲が現代のピアノで蘇るように、と想いを込めています。

一人の生徒が変えた録音に対する思い

実をいうと私はこれまで録音に興味が全くありませんでした。その考えを変えてくれたのが、新型コロナで世の中の状況が一変したころにちょうど新しくレッスンを始めた生徒です。

彼女はある日のレッスンで私が ResonanCe のコンサートで演奏したバッハのオルガンソナタがお気に入りで、寝る前によく聴いていると話してくれました。

レッスン後、そのオルガンソナタを演奏すると、彼女は泣いていました。彼女が帰ったあと、なんとも表現できない不思議な気持ちになったのをはっきりと覚えています。

こんな風に感じ取ってくれる人が一人でもいるのであれば、何か形に残すことも悪くないんじゃないのかと考えるようになりました。時間は有限で、聴いてほしいと思っていた人がいても、それが叶わないところに行ってしまうかもしれない、もしかすると自分がそうなってしまうかもしれない。

そんなときにプロデューサーの内藤晃さんとお話する機会があり、そのようなお話をすると「他に誰もやってないんだから是非!」「(CD を作るにあたり心配や問題がある部分は)僕が手伝うから、一緒にやろう!」とトントン拍子にお話しが進みました。

やるからには自分の持っているもの全てを詰め込めるよう練習しました。普段ピアノの音楽しか聴かない人にも、普段オリジナル楽器で聴いている人にも、面白いと思ってもらえる演奏を。そして私にきっかけを与えてくれた生徒に必ず喜んでもらえるものを!

――大内 暢仁

Piano

Nobuhito Ouchi



Nobuhito Ouchi is a young Japanese pianist, born in 1991. Ouchi specializes in the music of the Renaissance Baroque era. He is passionate about taking music written for the harpsichord, clavichord, organ, and presenting it on the modern piano, being aware of the performance practice, philosophy and numerology of the time. In this album, Ouchi brings new life to the works of Buxtehude, Pachelbel, etc. on a New York Steinway, and one can experience the thrilling music world of the Baroque masters.